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アングスト 不安

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 異常者の頭は誰もわからない

 40/100

 

 

あらすじ

 

 1980年にオーストリアで実際に起こった殺人鬼ベルナー・クニーセクによる一家惨殺事件を映画化した実録スリラー。

 

 83年にオーストリアで製作され、日本では88年に「鮮血と絶叫のメロディ 引き裂かれた夜」のタイトルでレンタル用VHSとして発売された作品を2020年に劇場初公開。

 

 刑務所出所後の殺人鬼が感じる不安、プレッシャーによる異様な行動や心理状態、それらを冷酷非情で凶暴なビジュアル、斬新なカメラワークで表現。

 

 陰惨な世界観を「U・ボート」「アンダーワールド」のアーウィンレダー演じる殺人鬼のモノローグでつづっていく。

 

 音楽を元「タンジェリン・ドリーム」のクラウス・シュルツ、撮影をアカデミー短編アニメ賞を獲得した「タンゴ」やジョン・レノンミック・ジャガーなどのMVを手がけたズビグニェフ・リプチンスキが担当。

 

 監督は本作が唯一の監督作品となるジェラルド・カーグル。

 

簡単な説明

 

 数々の国から上映禁止処分された映画。

 映画の構造としては難があるものの、異常な人間の思考回路や過去が淡々と語られる、ドキュメンタリー方式になっている。

 モデルとなった殺人鬼ベルナー・クニーセクは惨殺した家族に激しい拷問をしたようだが、今作では犯人の意図どおりにはなっていない。

 ちなみにベルナー・クニーセクは犬を殺していないが、今作でも殺していないので安心だ。

 

 とある殺人者が老婆を撃ち殺し、刑務所に入るところから始まる。

 刑務所から出た彼は、自らの欲望をかなえるために計画を立てていた。

 カフェにより、タクシーを拾い、運転手の首を衝動的に絞めようとするが未遂に終わる。

 逃げている途中で、とある家を見つけるが・・・。

 

 主人公の彼は常に人を殺したいという衝動に駆られている。

 カメラワークは彼中心に映し出されており、彼が口に食べ物を運ぶところ、彼の汗、体液、全体の動作など、主人公のあらゆる行動をとらえている。

 人によっては不快に感じるかもしれないが、彼の過去を語るモノローグとマッチして、殺人鬼の興奮や不安をすぐそばで感じることができるだろう。

 この映画が向かない人は、殺人鬼は怪力だったり、知略にたけてたり、殺しが奇天烈だったりと、エンタメとして観たい人だ。

 殺人にも手間取り、段取りも悪く、論理的どころか衝動的。

 ただ己の妄想を実現させたいだけの彼。

 映画では殺人鬼は神聖視されがちだが、現実は泥臭いものだった。

 

予告映像

 

 

 

 

 映画ノベライズ

 

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